教師のための生成AI基礎:AI時代の新常識

新企画「らいけんさんといっしょ」/「教師のためのChatGPTガイド」が半額

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年末年始キャンペーンで半額!(1/11まで)

教師のためのChatGPTガイド: AIを活用した教育の手引き」がAmazon.co.jpの年末年始キャンペーン対象に選ばれました。

セール価格は税込625円で、期間は2024年1月11日までです。

冬休みのまとまった時間で、ぜひじっくり読んでみてください。新しい時代において教師が何を考え、どう行動すべきかについて書きました。皆さんの周りの先生方やAIに興味のある方々にもお薦めいただければ幸いです。

教師のための生成AI基礎
〜AI時代の新常識〜

ChatGPT登場から1年で、世の中の常識が変わりました。

来る1月21日にAIと教育をテーマにしたワークショップを行いますが、参加者の皆さんに必要な前提知識や、よくある誤解について以下にまとめました。この程度の知識理解が現代を生きるための前提となった感があり、特に教育関係者には必須となります

生成AIとは

生成AIとは、高品質の文章、画像、音声などを生み出すことができるAIのことです。

教師あり学習とは

「教師あり学習」は、コンピュータに物事や意味を教えるための手法のひとつです。生成AIもこの方法で学習しています。

例えば、コンピュータに大量の犬の画像を見せて「これは犬だ」と学ばせたり、大量の文章を読ませて文脈や語彙の前後関係を学ばせたりすることで、コンピュータが犬の見た目を認識したり、文章を読み書きしたりできるようになります。

なお原語は ”supervised learning”(スーパーバイズド・ラーニング)なので、職業としての教師は関係ありません。

LLMとは

生成AIのうちテキストを操るものを言語モデル、中でも大規模な学習を行って高い性能を実現したものを大規模言語モデルと呼びます。「ラージ・ランゲージ・モデル」なので、略して「LLM」と呼ぶことがあります。

OpenAIの開発したGPT-3.5やGPT-4、GoogleのPaLM 2やGeminiは、いずれも教師あり学習を使って学習した大規模言語モデルです。

言語モデルは、あるテキストの次に来る語句を予測することができます。例えば「私の好きな」という不完全なテキストがモデルに入力されたとしましょう。

私の好きな

言語モデルは、この次に「食べ物は」や「音楽は」のような言葉が来ることを予測して、適切な語句を付け足します。

私の好きな食べ物は

「食べ物は」を付け足したので、今度はその先を予測し、新たな語句でテキストを続けます。

私の好きな食べ物はカレー
私の好きな食べ物はカレーです。

このように、LLMは予測と拡張の作業を繰り返すことによって文章を生成します。

ChatGPTはLLMではない?

多くの人々が、AI「モデル」と、それを応用した「製品」の区別ができていないようです。

結論から述べると、ChatGPTは大規模言語モデルを応用した製品の名前であり、LLMそのものではありません。ChatGPTやBardのようなサービスを呼称するための一般名詞は「AIチャットボット」です。LLMはこの文脈では製品名ではなく、ChatGPTやBardが利用している「モデル」、つまりGPT-4やGeminiのことを指します。

  • AIチャットボットの例:ChatGPT、Bardなど

  • 大規模言語モデル(LLM)の例:GPT-3.5、GPT-4、Geminiなど

このような混同や語彙の誤用は珍しいことではありませんし、カジュアルな文脈ではChatGPTをLLMと呼称しても特に問題はありません。いまだにインターネットとはWWWのことだと思っている人もいるでしょうし、ブロックチェーンとはBitcoinのことだと思っている人も、またAIとはChatGPTのことだと思っている人も非常に多くいることでしょう。すべて間違いですが、説明できますか。

ここで重要なことは、分かっていて敢えてそう言っているのか、分かっていないからそう言っているのかを見分けられるだけの知識理解があるかどうかです。特に教師には「厳密にはこういうことだ」という正確な理解が求められます。

モデルとは

そもそもモデルとは何なのでしょうか。日本語では模型のことですね。何かを模しているもののことです。大規模言語モデルは、何を模しているのだと思いますか。

モデルについて理解するために、まず「AIとは何か」を考えてみてください。AIとは何ですか。

AI(人工知能)とは

AIは人工知能と訳されることは皆さんご存知でしょう。では人工知能とはなんでしょうか。

人工知能とは、人間の知性を必要とするタスクを実行できる機械、またそれに関する非常に広範な概念のことです。その中でいま注目されているのがLLMというだけであって、LLMこそがAIなのだというわけではまったくありません。

ですからAIの世界におけるモデルとは、人間の知性を模したもの、端的には人間の頭脳の模型であると言うことができます。近年では「デジタル・ブレイン」という言い方をする人もいるようですが、AIとはもっと広い概念なのでデジタルである必要もありませんし、脳を模したものである必要もありません。人間の知性を再現できればよいのであって、水車と歯車で動く機械でAIを開発しても(大変でしょうが)何の問題もありません。

いかがでしたか。以上のような知識は、今後も予想される急激な生成AIの発展に教師が適応していくためにも非常に重要な基礎となることでしょう。ぜひ疑問を解消できるまで学んでみてください。

あわせて読みたい

AIはウソをつくの? AIチャットボットが見せるハルシネーション(幻覚)という現象について、よくある誤解に陥らないように、やさしい言葉でていねいに紹介します。

新企画「らいけんさんといっしょ」

今日は、皆さんに特別なお知らせがあります。
🌟新プロジェクト発表!🌟「らいけんさんといっしょ」がスタートします!

「らいけんさんといっしょ」について

「らいけんさんといっしょ」は、らいけんが素敵なゲストを招いて公開レッスンを行う企画です。サポーターの皆さんのお悩みを直接解決するとともに、らいけんの卓越したITスキルを他の多くの皆さんにも積極的に共有するための試みです。

記念すべき第1回のテーマは「画面録画アプリLoomの使い方」です。ゲストにカナダの日本語教師、Amiさんをお迎えしてLoomの基本的な操作をご紹介しました。

📺 YouTubeで公開

レッスンはZoom等で録画し、らいけんのYouTubeチャンネル「ほぼ週刊ググレカス」で公開します。こんな感じです↓

🙋‍♀ ゲストになるには

公開レッスンの生徒役(ゲスト)は、らいけんをPatreonで応援してくださっているサポーターの皆さんなら、どなたでもお申し込みいただけます。EdtechでもAIでも、英語でも、ギターのレッスンでも構いません。皆さんのご参加を心よりお待ちしております。一緒に学び、一緒に成長しましょう!

1/21 らいけん講演のお知らせ

らいけんが「AIと教育」に関するワークショップを行います。

  • 開催日:2024年1月21日(日)

  • 時刻:エジプト時間11:00-13:00(日本時間18:00-20:00)

  • タイトル:「君たちはどうジピるか - AIと教育の最前線(仮)」

  • 内容(予定):AI最新動向の紹介、授業準備の効率化、グループ演習など

  • 参加費:無料

「教師のためのChatGPTガイド」出版から半年の間に、再びAIが大きく進化したことについての紹介や、実際にAIチャットボットを使ってみる演習を予定しています。奮ってご参加ください!

本ワークショップは、「中東・北アフリカ日本語教育オンラインシンポジウム(JLEMENA)2024」というオンラインシンポジウムの一環です。

  • テーマ:「◯◯年後の日本語教育」

  • 使用言語:日本語

  • 参加費:無料

  • 日時:2024年1月19-21日

  • スケジュールやプログラムがこちらで見られます。

日本語教育を対象としたイベントですが、ChatGPTの教育利用に関する報告が多く予定されています。

お仕事、生徒さん募集中

  • らいけんに講演や研修を依頼する

  • らいけんに寄稿、原稿を依頼する

  • らいけんにオンラインレッスンを依頼する

生成AIおよびその教育利用、ITスキル全般、リテラシー教育、情報社会論、プログラミング、英語、プロジェクト管理、ギター、音楽理論など幅広い分野で強力な助っ人になる「歩く問題解決」とは私のことです。お仕事のご依頼お待ちしてます。

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